FPにはしてはいけない行為があります。
それは「顧客の利益を優先する」ときや、「無償で行う場合」であってもです。
他の専門家の「独占業務」の領域には注意!!
例:弁護士、税理士、金融商品取引業、保険募集人、社会保険労務士などの独占業務
弁護士法
弁護士、司法書士等で無ければ具体的な「法律相談」、「法律事務」、「法的手続き」を行ってはならない。
【できること】〇
・遺言の証人、遺言執行者となること。
・顧客の任意後見人となる。
【できないこと】✖
・遺言書の作成指導
・法律判断に基づく和解案の提案
税理士法
税理士でなければ、顧客の「税務書類の作成」や、「個別具体的な税務相談」を行ってはならない。
【できること】〇
・一般的な税務の解説。
・仮定の事例についての税額計算。
【できないこと】✖
・納税額の計算、確定申告書類の作成、税務に関する個別の相談。
金融商品取引法
投資助言・代理業者として「内閣総理大臣から金融商品取引業の登録」を受けていないFPは、投資助言や代理業務を行ってはいけない。
【できること】〇
・景気、企業業績の予想、過去の株価の推移など、一般的な話題。
【できないこと】✖
・顧客の資産運用、特定の有価証券の売買、具体的な投資の助言。
保険業法
【できること】〇
・一般的な相談、保険商品の説明。
・必要保証額の計算。
【できないこと】✖
・保険商品の募集、販売、勧誘。
社会保険労務士法
【できること】〇
・公的年金制度の一般的な説明。
・公的年金の受給見込み額の計算。
【できないこと】✖
・裁定請求書の作成など、顧客の公的年金に関する具体的手続き。
例題:弁護士法
弁護士資格を有していないFPが、離婚後の生活設計について相談された顧客の依頼により、その顧客の代理人として相手方との遺恨時の財産分与について話し合いを行い、報酬を得た。
これはFPとしていいのか?
✖ 離婚問題で係争中の相手方と折衝を行うことは弁護士の独占業務
例題:税理士法
税理士資格を有していないFPが、参加費無料の相談会において、相談者の持参した資料に基づき、相談者が納付すべき相続税の具体的な税額計算を行った。
これはFPとしていいのか?
✖ 無償で、納税額計算、税務相談、納税書類の作成はできない。
例題:保険業法
生命保険募集人、保険仲立人の登録を受けていないFPが、生命保険の一般的な商品内容について説明を行った。
これはFPとしていいのか?
〇 一般的な保険商品についての説明に、特別な資格は不要。
例題:弁護士法
ファイナンシャル・プランナーは顧客の依頼を受けたとしても、公正書遺言の作成時に証人となることはできない。
これはFPとしていいのか?
✖ 公正証書遺言の証人となる際、特別な資格は不要です。
例題:金融商品取引法
ファイナンシャル・プランナーが顧客と投資顧問契約を締結し当該契約に基づき金融商品取引法で定める投資助言・代理業を行うためには、内閣総理大臣の登録を受けなければならない。
これはFPとしていいのか?
〇 投資助言・代理業を行うには、内閣総理大臣の登録が必要。
例題:社会保険労務士法
社会保険労務士資格を輸していないFPが、顧客の「ねんきん定期便」等の資料を参考に公的年金の受給見込み額を計算した。
これはFPとしていいのか?
〇 公的年金の受給見込み額の計算は、一般的な作業。
例題:弁護士法
弁護士の登録を受けていないFPが、資産管理の相談に来た顧客の求めに応じ、有償で、当該顧客を委任者とする任意後見契約の受任者となることは弁護士法に抵触する。
これはFPとしていいのか?
✖ 任意後見人には特別な資格は必要ない。有償でも無償でも可能です。

「一般的な説明」は大丈夫ですが、それぞれの独占業務で「個別具体的な説明」は各法に抵触するので注意が必要です。
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